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廃れゆく 純真無垢と あのお城

 

 

 僕は小さい頃にこの地に引っ越してきて都会にはなくて田舎にはあるたくさんの素晴らしいものを見つけました。

 

 中でも僕の目を引いたのは車で少し行ったところにある寂れたお城です。僕は妙にそれが気になりました。寂れた雰囲気が都会出身の僕にはとても貴重なものに思え、しかし子供心にも変に遠慮してしまいなかなか親にあそこへ行きたいと言い出すことはできませんでした。

 

 そのうちその場所への興味も失せ、車で横を通っても見向きもしなくなりました。しかし僕の記憶には鮮烈にそのお城が焼き付いています。あのお城はなんだったのだろう……。     

 

 

 

 そして月日は流れ小学生だった僕も中学、高校、と成長していきました。そのうち行動範囲も広くなり、つい先日に自転車で近所を散策していたらふとそのお城の姿を近くに見つけたのです。

 

 

 僕はそこへ向かって走りました。小学生時代の謎。ずっと知ることのなかった十年越しの真実。それがついに僕の手の届く距離にあるのです。

 

 

 そして周りの風景に取り残されてしまったかのようなそのお城を見上げます。ようやく、ようやくこのお城の正体が……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『驚愕の時間別料金プラン!』

 

 

 

 

 

 

 …………ん?

 

 

 

 

 

 『宿泊 ××××円

    休憩 ××××円

  』

 

 

 

 

 

 

 …………あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『LoveHotel ××××』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 僕の思い出を返せ。